都立高校からイギリスへ

都立高校からイギリスへ

普通の日本人の私が、UCLのファウンデーションコースを経てUKの大学に行くことにしました。

海外大生が「国家公務員採用総合職試験(大卒程度)」(旧国家一種)を受験する際に知っておくといいかもしれないこと

ここ2本タイトルのセンスが全くない。

海外大生が「国家公務員採用総合職試験(大卒程度)」(旧国家一種)を受験する際に知っておくといいかもしれないこと

屈折した自己顕示欲の表れの代名詞、ブログです。1年くらいかけて勉強して国家公務員採用総合職試験(大卒程度)を受けたので、その旨を記しておこうと思います。本当は留学関係でもうちょっと書くべき記事があるのだと思うのですが、もう記憶が曖昧なのですね。

当該試験について

いわゆる公務員試験で、官僚になるやつです。詳しくは人事院のそれをご参照ください:

https://www.jinji.go.jp/saiyo/siken/sougousyoku/daisotsuteido_sougou/daisotsuteido_sougou.html

特に自分が受給している奨学金関係の人には、そういう政府関係の進路を取る人もいなくはないのかな〜という印象なので、誰かの参考になればいいな、と思って書き記しておきます。

全体のタイムスケジュール感

全ての試験は日本で行われるし、筆記だけで二次試験まであるので、官庁訪問(最終面接)まで含めて一年に3回日本に帰るか、何年かに分けてやる必要があると思います。私の場合は、

大学2年生

・2023年4月一次試験(選択肢):滞日時間4日

・2023年5月二次試験(論文):滞日時間2週間

※一次試験で一定の点に満たなければ、二次試験はない。また、二次試験は1日目論文、2日目人事院面接(人物面接)だが、人事院面接の日程は1日目論文試験の際に通知されるので、場合によっては1日目と2日目の間が3週間ほど開く可能性もあり、日本→イギリスの飛行機はフレキシブルにしておかないといけない。私は勘でこの日だろ!と決めうちして飛行機を買って、偶然当たった。運。

※住民票が日本に無い人は、人事院面接(人物面接)の際に現住所を書く際非常に厄介なので、覚悟して行くと良い(実際にやることは「住所が海外なんですが国籍は日本です」と言うだけだが、その後に書類を書いたりする)。

大学3年生

・2024年6月官庁訪問

卒業

・2025年4月仕事開始

みたいにできたらいいのになと思っています。ただ、官庁訪問はこれからなので、普通にどこにも決まらない可能性はあるし、1年後ニートとかしてたら大笑いしてほしい。しないで。

受験の背景と予備校

受験を検討し始めたのは2022年2月(大学1年生2学期終わったくらい)でした。ちょうどその頃から就職活動についても検討し始めていて(同年9月のボストンキャリアフォーラムに行ったわけなので)、その中で選択肢に上がった形です。

公務員試験は私が受けた2023年の場合は、春試験として①法律区分 ②経済区分 ③政治国際区分(旧行政区分)、秋試験として④教養区分 があります。自分は④教養区分をメインで、③政治国際区分を予備で受けようかな、と計画していました。2022年2月対策開始→2022年9月秋試験→2023年4月春試験→2023年9月秋試験 のどれかしらに受かろうと思っていたわけです。

対策については、周りに試験を受けた人もいなければ参考になる人もいなかったこと、自分自身Z会の通信講座は溜め込むタイプの人間だったので、自分で参考書を購入してるのは無理だろうなと考え、何かしらのパッケージを購入して対策しようと考えました。海外在住(=海外発送してくれる)・教養区分と政治国際のパッケージがある・ある程度信憑性があって試験周りの対策もちゃんとしている(面接とか)という観点から、大手公認会計士予備校TACで国家公務員試験対策パッケージを購入しました。全部で50万円くらいしたと思うので、英国ポンドで稼いでいてもバイト代が飛びます。特に政治国際区分の対策をちゃんとやっているところは少なくて、選択肢自体あまりなかった記憶があります。

計画をちゃんと立てる

もともと教養区分+政治国際という区分で受けるつもりだったので、

教養区分:数的処理(後述)、憲法、社会科学全般、人文科学全般、自然科学全般

政治国際区分:数的処理(教養と同じ)、憲法(教養と同じ)、政治学、国際関係論(ここまで必須選択)、国際法行政学、財政学[制度]、国際事情

を対策する必要がありました。一方で、パッケージを購入してから相談してみて、センターを受けてすらいないので、教養区分の社会科学全般、人文科学全般、自然科学全般を対策するよりは、大学でも履修している政治国際区分の内容(言語が違うわけですが)に絞った方が受かりやすいだろうというアドバイスを受け、信じ込んで、後者に絞ることにしました。もうちょっと真面目に考えてからパッケージを購入した方がいいですね。

特に海外大専願で日本の大学のセンターとかを受けていない人は、よく考えた方がいいと思います。

スケジュール

というわけで政治国際区分に絞ることに決めたのち、大体以下のような感じで対策しました。

  • 〜2022年8月:数的処理の講義など(全然真面目にやっていなかった)
  • 2022年8月〜9月:憲法国際法
    • 憲法国際法から始めたのは、この2科目で論文が書けると外務省専門職を受験できるかもしれないな…という邪な考えからだったのですが、①地域の専門家になりたいわけではない ②国際法が無理すぎる というそこそこ妥当な理由から、外務省専門職との併願は早期に諦めました。
  • 2022年9月〜12月半ば:政治学・国際関係論
    • 講義をひとさらい+問題集。大学が始まったのと、別記事に書いたようにボストンに行ったりしていたので、1週間に1講義(3時間)進めば良いかな、というちょうスローでの取り組みでした。
  • 2022年12月末〜2023年1月:国際関係論残り、行政学
    • 国際関係論、3ヶ月かけても終わらなかったんですね。頑張れよ。
    • 行政学にノータッチだったので、冬休みはひたすら行政学とバイトをしていました。冬休み、お店が開いていて私が出勤しなかった日、1日しかなかったらしいです。そのお金、どこいっちゃったんだろう…?(塾代と飛行機代になりました)
  • 2023年1月〜:国際事情、財政学制度・政策論文
    • 国際事情と財政学制度は時事の色が強く最後の最後まで講義が出ないので、そこまで待ちました。
    • 並行して12月・1月に択一試験(一次試験)の模試、2月に論文試験の模試があるので、そこの前に苦手分野をさらい直す形で問題集大体2周程度解いたみたいです。
  • 2023年3月〜:問題集さらい直し
    • 問題集3周目と苦手分野に取り組みました。

予備校に対して思うこと

よかったこと
  • カウンセリングという形で有識者と話せるのはありがたかった。「勉強の仕方わからんです〜」とか、「〇〇の点数伸びないけどどれくらい時間をかければいいかわからんです〜」みたいな話を定期的にしていたし、ありがたかった。
  • 過去の受験生とも話せる制度が合って、そちらは官庁訪問の話とかを聞くのに便利。やっぱり大学の先輩もアドバイスをくれる教授もいないので、そこは予備校じゃないとカバーできなかった。
  • 問題集を売ってくれるのが良い。私は問題集をひたすら解いて帰納的に知識をつけるタイプなので、問題集は必須だったと思う。Z会は貯めたけどTACはちゃんとやったから成長したなと思った。Z会を貯めてばかりでお母さんごめんなさい。
自分には合っていなかったこと
  • 講義のタイミングが微妙。最初にドカン!と全部出してくれたら(もしくは11月くらいに)学習計画立てやすいのにな〜と思った。
  • 問題の難易度を表現するときに、ちょっと過剰な時がある。先生によって「ちょっと過剰に言っているのでは…?」と思うような先生もいらした。が、何かを難しいというか簡単と言うかは本当に個人によるので、それは人間が主観的主体であるのと、ビジネスにおいて仕方ない点かなとは思う。

科目ごとに思ったこと(特に海外大的な視点から)【択一編】

  • 数的処理
    • 講義を受けて、講義自体はすごくわかりやすくて面白かったのだけれど、自分は受けなくても良かったかなと思った。というのは、「解法を説明してもらう」のは解説を読めばわかってしまうので、自分が時間を割くべきだったのは自分で演習をして可能な解法を理解していくことの方だったと思うから。ただ、問題集は入手できるならした方がいい。問題集を買うという意味で履修しても良いのかもしれない。
    • 私は高校で1A2Bをやったけれど、本当に数学が苦手だったので苦手意識が強かった。ものの、就職活動でTG-WEBの対策をしてから(問題形式が非常に似ているのだ)、「数学の問題にきちんと向かって解こうとする姿勢」みたいなものが育成されて、その姿勢の方が点数に貢献したような気がする。つまり、問題を見た時に丁寧に読んで、丁寧に場合わけして、丁寧に計算する、みたいな姿勢も大事だった。私大学受験しなかったから、いつの間にか忘れてたんだな、と思った。
  • 憲法(必須)
    • 憲法は完全に新しく勉強。先生の説明が大変わかりやすく自分にも合っている形で、講義を受ける+問題を解くの流れを一回やれば、後から模試などでやった時に「あの時の判例か〜」というのをざっくり思い返せたので面白かった。先生が良かったのかもしれないが、ゼロからでもなんとかなる。普通に中身が面白かった。TACの先生めっちゃおもろいし、いまだにテキスト見返したりする。普天間問題とかニュースの理解が深まった。
  • 政治学(必須)
    • 政治学」とまとめられているが、以下の分野を含む。自分が受けた感じでは英国の大学におけるLevel4(大学1年)とちょっと応用程度で、Level5(大学2年)程度まではいかないなと感じた。英国の大学では「原典を読ませる→そこから帰納的に理論を読み取らせる(エッセンスだけでは教えてくれない)」手法をとるのに比べて、公務員試験の勉強は「エッセンスをそのまま教える」形を取るので、方向性が逆でちょっと焦った。あと、英語でやると日本語に訳した時に人の名前が「誰〜〜〜」ってなることが多々ある。
    • 西洋政治思想:ファンデーションコースでも大学1年生でも2年生でもやったのでそこそこアド。
      • ホッブス・ルソー・ロック周辺:例えばファンデーションコースの授業でも原典読むし、なんならみんな高校でもやったべ。日本語に訳すとちょっとニュアンスがわかりにくかったりするので、最初はちょっと時間がかかったが、英語での出題もあるのでそこはアド。HasをHathって書いてたらロックかホッブスだな〜みたいなメタ読みもできる。
    • 現代政治思想(民主主義、自由、正義etc.)
      • 大学1年の授業(Level4)とかで扱った内容を、よりエッセンスにして詰め込んだと言う感じ。もちろん大学で扱っていない思想家もいたので、そこは日本語で覚えた。
    • 現代政治思想(その他、政治社会学寄り)
      • 現代政治思想(Level5)をとっていて、アーレントハイエク・ルーフマンとかは原典もしくは英語訳で読んだのでアドになった。問われる人はそこそこ被っているので、無からでも全然いけると思う。
    • 比較政治学理論
      • サルトーリの党制度や大統領制、レイプハルトのconsociational democracyとかは、大学2年の比較政治学(Level5)で扱ったので、この辺は少し応用編かもしれない。逆に、大統領制度とは言っても半大統領制とかまでは問われる内容にはならないので、大学の勉強が先行する部分と公務員試験が先行する部分があってしんどかった。
      • consociational democracyを多極共存型民主主義と訳すのが文面からはパッとわからないように、日本語で勉強せずに英語で勉強した内容については日本語訳を覚えなくてはいけなくて、ちょっとハードルかも。ちなみに多極共存型民主主義は実際の試験の論述で出て、正しい日本語が思い出せなくて英語で書いて上に日本語ルビ振った。
    • 各国政治制度(比較政治学ケーススタディ)
      • 覚えよ。ドイツ・フランス・韓国・中国とか。
    • 日本史(戦前)
      • 意外とこれが自分は詰まったところだった。高校で日本史をやった限り全てを忘れたので、明治維新から戦後首相史までさらい直した。これはやっておくと行政学の方でも役立つのでまあよし。ただ、実際受けた時は一問も出なかった(は?)。
    • 日本史(戦後)
      • Level5(大学2年生)のPolitics of Japanという授業で結構扱った部分でもあった。あったが、首相の名前とか覚えていないし背景もないので、一つの車の両輪みたいな感じで知識を補い合って勉強した形になった。
  • 国際関係論(必須)
    • 国際関係論(理論):
      • Liberalism, Realism, Neo-realism (Structuralism), Neo-liberalism, Constructivism, Critical Theories (incl. Marxism)の主な主張と主なスピーカーがわかっていればすぐ追いつけると思う。Level 4で国際関係論を扱っていたので、それを翻訳してほぼ対応できて良かった。逆にLevel 5まで行くとかなり深くなるので(例えば私は「安全保障の概念」を2年次にやったが、それは深すぎた)、1年目までの知識があればあとは日本語で補えると思う。ただ日本語の方が出てくる理論家と内容が多いのて、大きな流れは英語で把握できても、細かい知識は日本語でカバーする必要がある。
    • 世界史:
      • 意外と苦戦。地域ごとにまとめ直すしかない。
    • 国際問題:
      • 経済と開発、環境問題等、核兵器と安全保障に対する国際的取り組みの条約と流れを抑えなくてはいけなくて、これは普通にゼロから覚えた。高校の政治経済の授業の超超超発展みたいな感じかな。こちらの大学では知識としてインプットされることがないので、この知識を持ってイギリスの大学で勉強したら、むしろイギリスの方でアドになるなと思った。
  • 国際法(選択)
    • 国際法も完全に新出だったものの、こちらは先生の説明を一回で噛み砕くことができなくて、理解に時間がかかった。近くの大学で国際法をやっている知り合いに英語の資料を送ってもらったりして、ちょっとずつ取り組んだ。国際法はどちらかというと全体を流してから細部にこだわるように、何周かするのを前提として取り組んだほうがいいなという印象です。国際関係方の方で環境関係の国際情勢とかをやると、少し視点は違うが取り組みやすくなるからとりあえず流す。
    • 国際法を大学でやった先輩とかは英語から訳すだけ〜と言っていたので、前提知識があった方が取り組みやすいのは当然だと思う。
    • 実際の試験で全く点を取れなかった。
  • 行政学(選択)
    • 政治学と国際関係論とダブる部分がちょっとある。
    • 日本の制度については憲法とダブる部分もちょっとあるが、基本は新出。制度論のところは「ここが問われる!」と言うのがあまりはっきりしていなくて苦手だった。
  • 国際事情
    • 模試でやった内容だけ見ておいた。本当にそれだけ。TACの予想問題は質がいい。
  • その他
    • 文章読解は完全に玉手箱とかC-GABのそれと同じなので、就活でウェブテストを受けたことがある人は満点を狙えると思う。

というわけで、こちらの大学で勉強した内容をたまに使いながら、大半の場合は学び直す形となった。先ほども書いたが、こちらでは「エッセンスだけ教える」ということがなくて、人の名前よりも理論の中身が記憶に残りがちなので、理論の内容を聞いて初めて「あ〜この人か!」となることがあって、それは試験対策と学問の大きな違いだな、などと思った。

科目ごとに思ったこと(特に海外大的な視点から)【論文編】

・基本的には、択一の講義の中で「ここは論文でも出るよ」と教えてくれるので、そこをきちんと押さえておく形になる。書き方の形式(段落構成)や文字数等だけ、論文の講義を2倍速とかでみたらいいと思う。日本語で長い文章を書く方法を忘れていると思うから、形式は聞いておいた方がいい。

・国際関係論と政治学で書いたのが、行政学140点/200点政治学120点/200点、国際関係論190点/200点という全く褒められない結果だったので、全く書くことがない。政治学はイギリスの選挙制度の変遷についてで、顔面から火が出るかと思いながら全くわかりませんでした。これを恥と言います。ポーランドの選挙とかについて聞いてくれよ!!!

・TACのパッケージで論文対策があるのだが、これは時間がなかったのと、送料がバカにならないためほぼ送らなかった。

・政策論文は対策講座3回くらいがあって、それを聞いておけばいいと思う。実際私もその話で聞いた内容(かつ大学の授業でもやった内容)を実際の試験で使った。先生のテキストがわかりやすくて私は好きだった。

その他

・模試がいくつかあって、それは真面目にやって送った。DHLの一番小さいパッケージで送れば一応海外でも締め切りに間に合うので、自分の立ち位置を知ったりとかモチベを維持するには良いと思う。

・こんな感じでちょっと手抜きっぽいところもあったが、そこそこ良い成績で受かりはしたので自分に合った勉強法だったかなと思う。

 

以上。